【群馬県】日本一の伝統名泉・草津温泉を訪ねて
2018年夏。現役の高校球児だった実弟が地方大会決勝戦でサヨナラ安打を放ち、甲子園出場を決めた夏。著者は「熱闘甲子園」ならぬ「熱湯格子園」(湯畑)を求め関東を目指した。笑
日本3名泉「草津温泉」
群馬県の草津温泉は、下呂温泉(岐阜県)と有馬温泉(兵庫県)とともに日本3名泉の1つとして数えられており、自然湧出量は毎分3万2300L以上で日本一を誇る。いまいちピンとこないが、1日にドラム缶23万本分の温泉が湧き出るらしい。いや想像できない。笑
更には、2020年に行われた観光経済新聞社主催の「第34回にっぽんの温泉100選」において ”18年連続1位” を獲得している。まさに日本を代表する名泉である。
恋の病以外全て効く!?
草津温泉は「恋の病以外効かぬ病はない 」と言い伝えられているほど効能高く、古くから薬湯と知られている。その成分を調べてみた。
泉質
- 酸性泉
- 硫黄泉
- アルミニウム
- 硫酸塩泉
- 塩化物温泉
効能
適応症として
このように多くの効能がある。健康な人でも血流が良くなったり、肩こりが改善されたり、代謝が上がったりと良いこと尽くし。五十肩や虚弱児にも効能があるらしい。本当に恋の病以外は治るのかもしれない。
しかし、草津の源泉は50℃〜90℃前後で、調整がされていても比較的高温となっている。また酸性泉や硫黄泉の影響で皮膚が敏感な人や、小さな子供は特に注意が必要。禁忌症とは1回の入浴でも体に悪い影響を及ぼす恐れがある病気や病態のこと。
これを以下に記す。
禁忌症として
- 急性疾患
- 結核
- 悪性腫瘍
- 心臓病
- 呼吸不全
- 腎不全
- 出血症疾患
- 貧血
- 皮膚、粘膜の過敏な人 など
水風呂でも言えることだが、急激な温度変化は体に負担が掛かる為、かぶり湯をして馴染ませてから入浴することを勧める。正しい入浴法で癒しのひと時を。
草津のシンボル「湯畑」
そもそも湯畑とは、温泉の源泉を地表や木製の桶に掛け流し、「湯の花」と呼ばれる温泉の不溶性成分が析出・沈殿したものを採取し、湯温を調整する為の施設である。また、有害な濃度の硫化水素を除去する役割もある。
草津温泉はこの湯畑がシンボルとなっており、夜間はライトアップされ、沸き立つ湯けむりが幻想的なシーンを演出する。
江戸時代より伝わる伝統入浴法「湯もみ」
先述したように草津の源泉は50℃を超え、もちろんそのまま入浴することはできない。水を足して温度を調整することは容易いが、それでは効能が薄れてしまう。そこで江戸時代の人々は、約180cmの板を熱い源泉に入れてもみ、入浴できる温度まで下げる「湯もみ」を考え出した。現代ほど医療に頼れない時代に、高い効能を備えたまま入浴できるように工夫を凝らした先人たちには感服する。
そんな背景のもとで今もなお受け継がれている「湯もみ」は「熱乃湯(ねつのゆ)」で年間を通して「湯もみと踊り」ショーが開催され、そこでは「湯もみ体験」ができる。
※新型コロナウイルスの影響により現在はショーのみ。
「熱乃湯」の建物の外観は大正ロマン風。
温泉紹介
西の河原露天風呂
開放感抜群の露天風呂。深い緑と青空の下で温まるお風呂は格別。いくつか温泉めぐりをした中で最も強い印象が残っている。注意点としては体を洗うシャワースペースが無く、「脱衣所すぐ風呂」の構造になっている。草津はこういったお風呂が多い為、気になる人は事前に調べて行くこと。
下記のサイトで紹介している「御座之湯」と「大滝乃湯」とともに草津三湯めぐりは如何だろうか。
共同浴場
草津温泉には共同浴場と呼ばれる、地元の人の為に設置され、地元の人が管理しているお風呂がある。「地蔵の湯」に入ろうとしたが、源泉かと疑うほど熱い。兎に角熱い。皮膚剥がれる。地元のおじいちゃんは脱衣所で服を脱ぎ、かけ湯をした瞬間10秒ほど肩まで浸かって速攻で帰っていった。あっぱれ。
入浴する際は要注意!そして日本人としてのマナーを忘れずに。
何百年もの間、日本人の心と体を癒してきた温泉。日本一の名泉と言っても過言ではない草津温泉。人気の裏には恵まれた土地や泉質だけでなく、先人の知恵や独自の伝統が今の温泉街を支えていた。どんな時代になろうと温泉は日本人に愛され続ける。そしてこの日、これからの旅には温泉がつきものになると確信した。